就労移行を利用する前に〜体の準備編

ベルーフで、あるいは他の就労移行支援を利用する場合でも、就労のための研修を受けるためには、こういう状態になっていることが必要です、ということを書いていきます。

皆さんが気になること、それは「自分は就労できるのかな?それともまだ早いのかな?」ということではないでしょうか。
精神科の医師として、お伝えしたいことがたくさんありますが、「まだ早いかな」か、「これならいける」か、最初の段階で実はかなり分かります。

まずとにかく、何より何より大事なことは、
「家での日常生活が問題なくできている」
ことに尽きます!
つまり、起きられて眠れる、十分食べられる、体が動ける、ことです。

働くということは、自分の価値を社会のために、提供できるということ。
それにはまず、自分自身の生活の、足元がしっかりしている必要があります。
特に、食べる、寝る、動く、の3つは生命の基本。
3食、バランスよくきちんと取れていますか?人によっては2食だったりするかもしれませんが、自分の活動に必要な食べ方が分かっていて、できていますか?
きちんと眠れて、次の日の予定に間に合うように起きられますか?昼間眠くならないでしょうか。

今は起きられないけど、ベルーフに行くことにすれば起きられるだろう、と思うかもしれませんが、起床時間が安定するまでに時間を費やしてしまうのでもったいないです。
少なくとも、通所開始前に、早めに寝て決まった時間に起きる練習をしてください。もしそれが自分で工夫しようとしても、どうしても難しいのであれば、まだ就労より休養や療養が必要な段階かもしれません。
昼間眠くなるのは、ベルーフに来るうちに慣れてよくなるかもしれませんが、起きて通所できないことには研修が始まりません。通所を決める前に是非、自分で決めた時間に起きて、電車やバスなど通所のための交通機関に乗る練習を2週間ほどしてみてください。最初はつらくても、だんだん慣れてくるようなら大丈夫です。逆にだんだんつらくなるようなら今はまだ療養したほうがいいかもしれません。

あと大事なことは、体が動くことです。ベルーフの研修は頭脳を使いますが、学習の基本は、身体の活動から始まります。

まず体が動いてこそ、頭が動きます。メモをとったり、挨拶の練習をするとき、手を動かすことや姿勢を作ること、声を発することが脳にフィードバックされて記憶され、学習になります。体を動かさず、脳だけ使っているわけではないんです。ベルーフでも朝と午後に体操の時間を作っています。

電車に乗って新しい場所に通所して、初めて会う人たちと話し、新しい内容を学習することは結構大変なことです。通所の当初は来るだけで、いっぱいいっぱいな人が多いです。でもなるべく最初の段階から充実した研修ができるように、できたら通所前に状態を調整しておけたらいいと思います。
朝起きたら、朝日を浴び、少し散歩したり体を動かしてください。動き出しは大変でも、だんだん体が動くようになってくるなら、大丈夫です。午前中のうちに活動する習慣を作りましょう。

就労には勤怠が一番重要です。職場に来れないことには、どんな仕事をやってもらったらいいか、職場の方もそもそも考えることができません。
逆にちゃんといつもそこにいてくれる人には、その人の能力に合った仕事を考え、やってもらうことができます。能力よりも先に大事なことは、職場に決まった時間いられて、みなさんの人間性を覚えてもらうことです。

ベルーフでは障害に関わらず、きちんと人物や技能を評価してもらって就職することを目指しています。みなさんの良いところが多くの人に知られて、伸ばせる力が伸ばせるように、最初は大変でも少しずつ頑張っていきましょう。

次回は心の準備編を書いていく予定です。

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