病気や障害の中にある力

このウェブサイトを見てくださり、ありがとうございます。茗荷谷の就労移行支援事業所ベルーフで利用者の皆さんのカウンセリングをしている精神科医の塚原です。
このブログでは、ベルーフを含めた就労移行支援を利用したいと思っている当事者の皆さん、当事者のご家族、支援に関わる方、企業の方々へお伝えしたいことを書いていこうと思います。

ベルーフでは利用者の方の精神疾患や障害を限定していないので、背景や個性がさまざまな人達が研修をしています。確かに、苦手なことが多かったり、「普通は考えずにできること」が難しかったりするかもしれませんが、でも利用者さんたちが自分にある能力、得意なことや好きなことを再発見したり、あるいは伸ばす機会がなく眠っていた力を伸ばしていく場面を見ると、障害と呼ばれるものはいったいなんなんだろうと考えたりします。

精神疾患や障害を持って生きること、それはなかなか大変なことです。皆さんも今までにそれぞれの困難があったことと思います。その中でも自分なりに向き合い耐えたり、なんとか頑張ってきたことは、そのことでとても疲れたり消耗してしまったとしても、皆さんの大きな努力であり力です。そして、病気や障害があっても働きたいと思い、ベルーフに関心を寄せていただいたこと、そういう希望を持ったこと、これもとても大事なことです。

精神疾患や障害を長年診てきて、私自身が持っているポリシーがあります。
それは、精神の病気は、本来はその人の中の力であって、うまく使うことができないでいる力だということです。
その人の適性や能力や意欲、苦手なことも含めた個性が、周囲の環境の中で理解されなかったり伸ばせなかったり、自分でもうまく使うことができなかったとき、せき止められて病気になると私は考えています。
力は使うことが必要で、それも、自分がしたいこと、自分にとって意味のあることに使うことが重要です。不本意なこと、自分に合わない環境で、自分の信念を曲げないといけないようなことに使うと、うまく流れずに、また病気のもとになる可能性があります。しかし自分に適したこと、やりたいこと、苦手なことを理解して、また周囲の人も理解してくれる環境にいれば、本来のちからを活かすことができます。

そういう意味で、病気は油田のようなものです。整備して、うまく使えばエネルギーになります。

病気が重いときには、医療が重要です。病気を悪化させないために、薬を飲んだり治療を行ったりすることには意味があります。しかし、医療は病気が進行するのにストップをかけることはできても、病気の力に対抗する健康な力を伸ばすことは不得意です。医療はマイナスをゼロに近づけることは可能ですが、普段の生活の中で、したいことや意味のある活動をしていくことが、プラスの力を伸ばしてß自分を強くしていきます。

今までベルーフの研修の中で、トレーニングして自分の能力を伸ばして行く中で、皆さんの病気や障害の状態も良くなっています。自分が努力できる、力をつけられる、という自信を持つこと、社会でつながりを持ち役に立てるという希望が健康な力を育てていくのだと思います。

皆さんにとって、働くことの意味はどのようなものでしょうか。お給料をもらって自分で生活をしたい?自立して、家族を安心させたい?社会の中でどんなことができるか、挑戦してみたい?自分の力を社会に役立てたい?皆さんひとりひとりに、色々な意味や目的があると思います。願いや希望、それは行動のためのエネルギーになります。

病気や障害の中にある力」への4件のフィードバック

  1. 塚原さんのエールは勇気が湧きます。人間の本来生きていく力とは何かを示唆しているからです。自分は何者なのかを考えてみます。

    1. ありがとうございます。今後も今までの臨床やベルーフでの経験の中で感じたことを書いていきますのでよろしくお願いします。

  2. 素敵なお話ありがとうございます。これって、障害の有無に関係ないなと気づかされました。

    1. コメントありがとうございます。そうですね、人の中にある力をどう見るかかなと思っています。

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