つらさの乗りこえかた

就労に向けて生活を整えたとき、通所を始めたとき、研修が新しい段階に入ったとき、つらさや苦しさが噴き出してくることがあります。

これはある意味当然で、今までの自分の在り方を変えたいと思って新しい挑戦をしたときは、ある程度つらくなったり無理がかかるのは自然なことです。
これを「悪化」と勘違いしないことがすごく大切だと思うようになりました。

(やっぱりだめだった・・・)とか
(まだ早かったのかも・・・)とか
(病気が悪くなったんじゃないか・・・)とか
思ったりします。
お医者さんや家族に相談すると、「無理しなくていいんだよ」と言われ、「やっぱり無理なのかな・・・」とと思って、自信をなくしてしまったり。。。

精神医療に関わる医療者や、福祉の支援者は「無理をさせない」ことを大事にしがちです。私もかつてはそうでした。無理をしてせっかく安定した状態が崩れてしまうことが怖いからです。
ですが、自分の生活や取り組むことを変えたり、新しい挑戦をしたりするときには必ず何かの「無理」が伴います。
その「無理」や、噴き出してくる苦しさつらさを、乗り越えられるくらいの小ささにおさめられるように工夫することが大事です。
決して、「無理をしない」「つらさをゼロにする」ことではないと思います。

とはいえ。
「つらいのは当たり前、気合で乗り越えよう!」とか「やればできる!」一辺倒で越えようとするなら、それも違うと思います。

ご本人だけで頑張ると大きすぎる無理をしがちです。
病気や障害を抱えて生活することだけでけっこう大変なことなので、ある意味病気や障害を持った人は無理をし慣れています。なので、どこまでが今できることか、やりたいことか、わからなくなっていたりします。大きすぎる目標を立てて、できない自分を、自分が弱いからだ、怠けているからだ、気合が足りないからだと責めてしまったりします。
頑張る努力は素晴らしいとしても、苦しさに圧倒されてしまったら元も子もありませんよね。やはり、理解してくれる周りの人に、意見をもらい、一緒に考えてもらうことが大切だと思います。
今の状態だと、どれくらいの挑戦が可能で、どれくらい休むことが適当なのか、自分の希望や感覚を大事にしつつ、周りの人に相談することで、「無理」を、適度な大きさにサイズダウンして、乗り越えられるような小さな「挑戦」に変えていくことができます。
ベルーフでは、その「無理」をどう乗り越えるか、人の助けも借りつつ自分で越えられるようにしていくことも研修に入っています。

それは「今何からするか決める」、と同時に、「今どれをしないかを決める」、ということでもあります。
「やっていて大変でつらい気持ちになる」「自分はこれが苦手で、やりたくない」という気持ちをちゃんと意識すること、それを伝えることはとても大事なことです。
それでも今やってみよう、とスタッフから言われることもありますが(笑)でもそれはスタッフはやれる、やったほうがいい、と思っているからです。その先はまた話し合いで決めましょう。

とにかく無理やつらさはゼロにするのでなく
1)自分の希望や不安を意識して感じて、人に相談し、やってみようと思えるくらいに小さくしてから、やってみること
2)やってみてどうだったか、自分の状態や気持ちはどんなものが出てきたか、結果はどうだったか、と振り返り、感じ、検証してみる。
3)もしつらかったら、理解してくれる人に話し、次の一歩を一緒に考えてもらうこと
それの繰り返しで、筋トレのように必ず力がついてきます。

つらさの乗り越え方がわかってきて、自分で調整できるようになると、病気自体も乗り越えていく力がついてきます。

でもたまに頑張りすぎてしまい「しまった!」ということは誰にでもあります。そういうときはどうか休んで、必要以上にめげないでください。挑戦したことは必ず力になっています。気を楽にしてくださいね。

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